花粉症とは
花粉症とはアレルギー症状のひとつで、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれるものです。アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)となるのは様々な花粉で、その花粉が飛ぶ季節に発症することからこう呼ばれます。
アレルギーとは人間に備わった免疫という仕組みが、何らかの理由で異常をきたすものです。本来、細菌やウイルス、寄生虫といった害のあるものの身体への侵入を防ぐのが免疫の役割りですが、通常では害のない花粉やホコリなどにも反応してしまい、様々な症状が現れてしまいます。
現れる症状としては、くしゃみや鼻水、鼻詰まりなどがあります。目でアレルギー反応が起こると目のかゆみや涙の分泌が生じ、目の充血があらわれます。また、のどでアレルギーを起こすとのどにかゆみを感じたり、咳が出やすくなったりします。さらにこれらの症状により、頭が重くなったり、集中力がおちたり、イライラしたり、不眠の結果として日中の眠気を感じやすくなることもあります。
当院ではこうした花粉症のお悩みに対して、アレルゲンを特定するための各種検査、および症状を抑えるための薬の処方を行っていますので、お気軽にご相談ください。
血液検査
アレルギー反応を発症する際には、「IgE抗体」という物質が作られることがわかっています。血液検査によって血液中のIgE抗体を調べることにより、患者さまのアレルギーの傾向や、どのようなアレルゲン(花粉)に反応するかを確認することができます。
IgE抗体の検査には、総IgE検査と、特異的IgE検査があります。
総IgE検査(非特異的IgE検査)では、血液中のすべての種類のIgE抗体の量を調べます。それにより患者さまがどのくらいアレルギー体質なのか、そのレベルを推定することに役立ちます。また特異的IgE検査では、血液中のIgE抗体のそれぞれの種類と量を調べ、どのアレルゲンに対して抗体をもっているか(反応しているか)を調べることができます。
花粉症の改善では、原因となる花粉を遠ざける(マスクやゴーグルをしたり、服などに付けて家の中に持ち込まないようにしたりする)ことが重要になりますが、原因となる花粉や、それが飛散する季節は様々です。たとえばスギやヒノキの花粉は2月下旬~4月中旬、シラカンバやイネ科では4月下旬~6月中旬、ブタクサは8月下旬~9月下旬などに飛散します。自分がどの花粉に反応するのか血液検査で知っておくことは、花粉症の発症や重症化の予防に繋がります。
血液検査では花粉症のほかに、ハウスダストや食物アレルギーのアレルゲンの検査も可能です。
内服処方
内服薬による治療としては、主に抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン拮抗薬を使用します。
抗ヒスタミン薬は、神経伝達物質であるヒスタミンの働きを抑えることにより、アレルギー反応を軽減する薬です。抗ヒスタミン薬には副作用として中枢抑制作用や抗コリン作用と呼ばれるものがあり、これらによって眠気や喉の渇き、尿閉、便秘、眼圧の上昇といった症状が現れる場合があります。ただし現在では第二世代の抗ヒスタミン薬が開発されており、抗コリン作用などが軽減され、眠気などが起こりにくくなっています。車の運転をしてもよいものもあり、そうした薬も処方することができます。
抗ロイコトリエン拮抗薬は、体内でアレルギー反応を引き起こすロイコトリエンという物質の働きを阻害する薬です。鼻の粘膜の炎症や鼻閉(鼻づまり)などの症状の改善が期待できるものですが、市販はされておらず、医療機関の処方のみとなる薬です。喘息などでも処方されることのある薬です。
そのほかに、小青竜湯、葛根湯加川芎辛夷、辛夷清肺湯、麻黄附子細辛湯といった漢方薬を処方する場合もあります。また内服薬ではありませんが、鼻や目の症状が強い場合に、鼻噴霧用の抗ヒスタミン薬やステロイド剤、抗ヒスタミン薬などの点眼薬を使用する場合もあります。